胃腸内科について
胃腸内科とは
胃腸内科は、食道に始まり、胃腸などの消化管、およびそれに連なる胆のう、すい臓など、広く消化器領域の疾患に関する診療を行う内科です。腹痛や嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状の際には、お気軽にご相談ください。
問診および診察を十分に行ったうえで、必要があれば、各種検査(血液、X線、腹部エコー、胃カメラ、大腸カメラなど)を組み合わせ、診断と治療にあたります。
こんな症状はご相談ください
- 胃腸の調子が悪い、お腹が痛い、背中が痛い
- 下痢、便秘
- 食欲がない
- 会社や市町村などの健(検)診で胃腸の再検査を勧められた
- 胃がんや大腸がんなどの消化器がんが心配 など
胃腸内科の主な対象疾患
胃食道逆流症(逆流性食道炎)、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、ヘリコバクター・ピロリ菌感染症、胃ポリープ、胃がん、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸がん、慢性便秘症、感染性胃腸炎、過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア など
ピロリ菌が原因の病気
ヘリコバクターピロリ胃炎(萎縮性胃炎)
胃粘膜へのピロリ菌の持続感染により慢性炎症を起こし、胃粘膜の萎縮(粘膜が薄くなる)や腸上皮化生(腸粘膜への置換)を来たし胃癌の発生母地となります。
ピロリ菌の除菌により胃癌の予防、胃潰瘍の予防につながることが様々な研究で示されたことより、2013年より全てのヘリコバクターピロリ胃炎患者が保険診療で除菌が可能となりました。
また、除菌により半数近くの患者さんに胃部不快感の改善が見られるという報告もされています。
除菌治療薬に対しアレルギーのある方、他の疾患で多数の薬を内服中の方を除き、積極的な除菌をお勧めします。
ピロリ菌除菌により激減している
胃・十二指腸潰瘍
ヘリコバクター・ピロリ菌、非ステロイド性抗炎症薬、胃酸などによって粘膜がえぐられる病気で、胃の痛みや不快感を伴います。大抵は、薬の服用などで治すことができピロリ菌の除菌や胃酸分泌抑制薬の維持投与でほぼ再発は防げます。
日本人にもっとも多いがんの1つ
胃がん
胃がんは、粘膜に発生する癌で日本人が最もかかりやすいがんの一つであり年間13万人が罹患し5万人近くの患者さんが命を落としています。早期の胃がんは、無症状で発見されることが多く、毎年定期的に検診を受けることが、胃がんの早期発見のために最も重要なことです。早期胃がんの予後はとても良く、完全にがんを切除できた場合、治癒率は9割を超えます。またピロリ菌は、胃がん発生の原因になることが判明しており、ピロリ菌の除菌をお勧めします。
女性の死亡率第一位のがん
大腸がん
大腸癌は直腸から盲腸にできる癌で年間13万人が罹患し5万人以上が命を落としています。胃癌と同様早期に発見することで多くの方は治癒が期待できます。また、前癌病変である良性腫瘍(ポリープ)を切除することで癌の発生を予防することができます。
大腸癌検診で要精査となった方はもちろんですが、便秘の悪化や血便が見られる方、また無症状の方でも40歳を超えたら一度大腸内視鏡をお勧めします。
胃カメラで異常がないのに胃の調子が悪い
機能性ディスペプシア
みぞおちの痛み、食後の膨満感などの上腹部症状を訴え、しかも内視鏡検査などで症状を説明しうる器質的疾患(胃食道逆流症や胃・十二指腸潰瘍など)が無いケースを機能性ディスペプシアと呼び診断・治療をされていない方も含め1000万人以上と言われています。原因として胃酸分泌過多、ピロリ菌感染、ストレスなどの心理社会的要因により消化管知覚過敏、運動機能異常が起こっていると考えられています。治療は、胃酸分泌抑制剤や蠕動亢進薬が標準的治療ですが、当院では患者さん毎に適した漢方薬を選択し治療効果の向上を目指します。
特に原因がないのに慢性的に下痢や腹痛が続く
過敏性腸症候群(IBS)
大腸内に肉眼的に見える炎症や腫瘍を認めないにもかかわらず機能異常を起こしている状態であり、診断されていない方も含め1000万人以上と言われています。原因は特定されておらず腸内細菌の乱れ、微細な炎症、アレルギー、胆汁酸などの器質的な要因やストレス・疲労などによる心理社会的な要因が複雑に関与して発症するものと考えられています。症状としては下痢や便秘、腹痛、下腹部の張りなどの症状が起こります。治療は、食事指導や便通の調節、痛みの緩和を中心に漢方薬を併用することで多くの方が症状のコントロールが期待できます。効果が不十分な場合は抗不安薬、抗うつ剤による精神治療も併用します。
治療開始に際して潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患や大腸癌などの器質的疾患の否定が重要であり大腸内視鏡検査をお勧めします。